羽毛の採取方法について知りたい!信頼できる羽毛原料メーカーは?

2022年3月10日

羽毛の採取方法

毎日使う羽毛布団。どのように作られているのかご存知でしょうか。

羽毛布団を作るには羽毛の採取、洗浄、側生地の製造、縫製、羽毛の充填などさまざまな工程があります。今回は羽毛の採取方法について調べてみました。

羽毛布団に使われる羽毛はどのように採取されるの?

一般的に羽毛布団に使われる羽毛は、食用肉生産のために屠殺された水鳥の副産物として採取されます。

ダックやグースは羽毛のために養殖されることはなく、本来の飼育目的は食肉や卵など食用のため。羽毛は、屠殺後の副産物として利用されるようになったものなのです。

◉羽毛の採取方法は?

ハンドピック

主に冬を越すマザーグースに用いられる採取方法。羽毛に与えるダメージが少ないため、質の良い羽毛となり長持ちします。しかし現在は、生きている水鳥から羽毛を採取するハンドピックは動物愛護の観点から欧州では禁止されています。

マシーンピック

羽毛を機械で採取する方法。食肉生産のために屠殺された水鳥の羽毛を機械で刈り取ります。現在流通している羽毛の多くはこの方法で採取されています。

ハーベスティング

羽毛が生え換わる換羽期(ハーベスト)に自然に抜け落ちた羽毛を採取する方法。グースの場合はこの採取方法が許されています。羽毛の宝石と言われるアイダーダックダウンも抜け落ちた羽毛で作られます。アイダーダックは産卵期に抜け落ちた羽毛を巣に貼り付けて卵を暖かく保ちます。その巣についた羽毛を、卵が孵化した後に人の手で採取します。

適切な方法で採取された羽毛かどうかを知るには?

生きている水鳥からの羽毛採取は現在欧州で禁止されていますが、消費者の私たちが適切な方法で採取された羽毛を使っている商品かどうかを知るにはどうすればいいのでしょうか。

キーワードは「トレーサビリティ(追跡可能性)」です。どこでどのように育った水鳥からどのように採取した羽毛なのかを追跡できる仕組みがきちんと整っていることが重要になります。

認定ラベル「ダウンパス」や認定機関の認定を受けているかどうかがひとつの目安です。

◉認定ラベル「ダウンパス」とは?

「ダウンパス(DOWNPASS)」は、「生きた水鳥から採取していない羽毛」のみを使用した商品であることや、羽毛の品質を保証する規格です。

水鳥の飼育や羽毛の品質基準について「農業的動物飼育における動物保護に関する欧州協定(European Convention for the Protection of Animals kept for Farming Purposes)」で定められた基準に従っています。

科学者や獣医学者、動物保護機関が関わり、世界中、例えば羽毛需要の高いアジアの新興国などでも倫理的に適切に飼育された水鳥の羽毛を調達できるようにすることを目指しています。

「ダウンパス」ってどのような監査をするの?

自社製品に「ダウンパス」ラベルをつけたい企業は監査手続きを受ける必要があります。日本ではQTEC「日本繊維製品品質技術センター」が「ダウンパス」監査機関となっています。

製品に使用されている羽毛が倫理的に飼育された水鳥の食肉生産の副産物であることを確認するため「屠畜記録」や「羽毛加工記録」、「羽毛製品製造記録」などをたどって、現地での監査と品質試験をおこないます。この監査に合格した製品のみが「ダウンパス」ラベルをつけることができます。

初回の検査に合格した後も2年ごとに立ち入り検査を受けなければなりません。また市場に流通した「ダウンパス」商品についても、機関名を伏せたうえで認定機関が定期的に購入しチェックするそうです。

ダウンパスについて詳しくは「ダウンパスってどんな規格?羽毛布団を買う前におさえておきたい基礎知識」をご覧ください。

◉EDFA「ヨーロッパ羽毛協会」とは?

EDFA(European Down & Feather Association)「ヨーロッパ羽毛協会」は1980年にドイツ、マインツで設立された欧州の羽毛協会です。

羽毛寝具に関するあらゆる情報を提供する組織で、特に消費者や動物愛護を重視しています。このEDFAに認定された会員企業はトレーサビリティ(追跡可能性)を確保するため情報の整理や行動規範が義務付けられており、ダウンやフェザーの動物虐待的採取や加工が禁止されています。

また虐待的採取をおこなっていないことが追跡可能であることを証明するために「現地証明」「納品書」「獣医証明書」などの文書が第三者機関によって定期的に監査されます。このEDFAの認証を受けているメーカーの羽毛が使われているかどうかも、信頼できる商品かどうかの目安となります。

◉信頼できる羽毛原料メーカーは?

「ダウンパス」や「EDFA」の認証を受けている羽毛原料メーカーを探してみました。参考にしてみてください。

河田フェザー株式会社

1891年創業の羽毛原料メーカー。2014年に「ダウンパス」を、2015年には日本で初めて「EDFA」認証を取得。長年扱いのあった羽毛でもトレーサビリティの確保が出来ないものは扱いを中止するなど徹底した管理をおこなっています。

富士新幸株式会社

大正時代から100年続く羽毛メーカー。羽毛原料の輸入、洗浄、羽毛布団の製造などをおこなっています。羽毛は社員がヨーロッパ各地の供給先へ出向いて飼育環境や品質を確認したうえで調達。「ダウンパス」の監査も受けています。

カウフマン・スリープウェル社/SLEEPWELL KAUFFMANN

オーストリアの羽毛メーカー。各農家で鳥の誕生から育成、羽毛の採取などのあらゆる過程において管理しています。また「Respects Animal Welfare”(動物の幸せを尊重)」として生きている鳥から羽毛を採取していません。

▼KAUFFMANN

まとめ

羽毛の採取方法について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

羽毛の採取方法や品質は国際的に管理されていることが分かりました。羽毛がどのような場所でどのように採取されたものなのか、追跡ができる規格があることは企業にとっても消費者にとっても重要なことですね。今回の内容をまとめておきます。

・羽毛は主に「ハンドピック」「マシーンピック」「ハーベスティング」という方法で採取される

・生きた鳥の「ハンドピック」は動物愛護の観点から現在禁止されている

・信頼できる羽毛製品を探すには「ダウンパス」ラベルや「EDFA」認定が目安となる

ぜひ参考にしてみてください。