羽毛布団の製造工程を知りたい!側生地の縫製から羽毛の充填、仕上げまで

2022年3月10日

羽毛布団の製造工程を知りたい!側生地の縫製から羽毛の充填、仕上げまで

羽毛布団は、羽毛原料の採取・調達、羽毛の洗浄の他に、どのような工程を経て作られているのでしょうか。今回は側生地の縫製や羽毛の充填について詳しく見ていきましょう。

羽毛布団の製造工程は?

羽毛布団の側生地縫製から羽毛充填までの工程について調べてみました。

①生地の検査

生地の検査

生地に織り不良や染め不良がないかを人の目で確認します。羽毛は少しの穴でも吹き出してしまうため、生地の不具合を見落とすことはできません。

②生地の裁断

生地の裁断

さらに生地不良の検査をしながら、裁断機にかけて裁断します。

③側生地縫製

側生地縫製

まっすぐに縫うために生地に薄く線を引いてから、ミシンで縫製していきます。立体キルトの場合は、まずマチ布を縫い合わせ、それを表生地と裏生地に縫いつけていきます。羽毛の吹き込み口を残して、すべて縫い合わせます。

羽毛布団のキルトの種類と構造について

羽毛布団のキルトの種類と構造の特徴をまとめておきます。より複雑なキルト構造ほど、縫製に手間と時間がかかります。

平面キルト(タタキキルト)

側生地の表と裏の生地をそのまま縫い付けるキルト。作るのが比較的簡単なので安価で手に入りますが、縫い目に羽毛がなく、立体キルトに比べるとあたたかさを保ちにくい構造です。また、体にフィットしにくく、冷たい空気が入り込みやすいです。

立体キルト

キルティングにマチをつけて、ひとつのマス目を箱状に区切るキルト構造です。縫い目部分にも羽毛が入っているのであたたかく、羽毛が片寄りにくいというメリットもあります。

二層式立体キルト

二層式立体キルトはキルトを二層にしたもの。縫い目の谷間を裏表で互い違いになるように作られたものが多く、縫い目から熱が逃げにくいので保温性が抜群です。寒い冬でも大変あたたかく眠れます。

④羽毛の充填

側生地が完成したら、羽毛を詰めていきます。

側生地の吹き込み口から掃除機のホースのようなものを入れてキルトの一マス一マスに決まった分量の羽毛を吹き込んでいきます。入口部から遠い奥の方から充填していき、徐々に手前のマスに移動していきます。

マス目の数だけ同じことを繰り返しますので、マス目が多いほど手間と時間がかかり、価格が高くなります。

どれくらい羽毛を充填するの?

羽毛がたくさん詰め込まれているほどいい羽毛布団というわけではありません。

羽毛の量が多すぎると体にフィットしにくくなってしまいます。羽毛の長所である通気性の良さを発揮できず、寝ている間にムレて暑くなってしまうことも。

また、パンパンに羽毛が詰め込まれた布団には、たくさん詰め込まなければかさが出ない未熟な羽毛を使っている場合もありますので注意が必要です。

羽毛の量は羽毛ひとつひとつのダウンボールの大きさや布団を使う方の体質(暑がり/寒がりなど)により調整するのが理想です。

キルティング内に適度に空気の層ができる程度の充填量にすることで、より保温性に優れ、通気性の高い快適な羽毛布団が完成します。

⑤口閉じ

最後に羽毛の吹き込み口を縫い合わせます。

⑥最終検査

針が残っていないか、金属片が混入していないか、傷や汚れがないかなどを入念にチェックして問題がなければ完成です。

信頼できる羽毛布団の製造メーカーは?

側生地の縫製、羽毛の充填をおこなっている製造メーカーを探してみました。

東洋羽毛工業株式会社

羽毛原料の輸入・調達から羽毛布団の製造までをおこなっているメーカー。熟練の職人が手作業で生地を縫製。羽毛の充填は自動計量詰め機を使い、一マスごとに正確に羽毛を計量して詰めていきます。

東陽産業株式会社

羽毛原料の調達から、羽毛製品の企画・製造、クリーニングまでをおこなうメーカー。羽毛布団はすべて自社工場内で丁寧に手作りしているため、量産は難しいが、顧客の要望に合わせた「羽毛布団お仕立て」など、小回りの利くサービスを提供しています。

富士新幸株式会社

羽毛原料の選定・調達から、羽毛布団や布団カバー、枕の加工・製造などをおこなっているメーカー。自社内に織物工場があり、製造した羽毛布団用側生地を自社縫製工場で縫製しています。

まとめ

羽毛布団の側生地の縫製や羽毛の充填について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

普段使っている羽毛布団が、たくさんの職人の方々の手によって作られていたとが分かりました。布団は長く大切に使いたいですね。今回の内容をまとめておきます。

・羽毛布団は羽毛の採取、洗浄のほか、「生地の検査」「生地の縫製」「羽毛の充填」などの工程を経て作られる

・羽毛布団のキルトには「平面キルト」「立体キルト」「二層式立体キルト」がある

・羽毛の充填量は多すぎると暑すぎ、少なすぎると保温性が足りない布団になってしまうので、羽毛の質や使う人の体質によって羽毛の量を決めると良い