ダウンの品質検査ってどんなことをするの?羽毛布団を買う前に知っておきたい基礎知識
ダウンの品質を調べる検査には、ダウンやフェザーの割合を調べる組成混合率検査や、かさ高を調べるダウンパワー検査、どれだけきれいに洗浄されているかを示す清浄度検査など、さまざまなものがあります。
今回は羽毛の品質検査の内容について詳しく調べてみました。
羽毛布団の品質を知るには?
羽毛布団の品質を示すラベルにはいくつかあるのをご存知でしょうか。
よく知られている日本羽毛製品協同組合発行の「ゴールドラベル」のほかにも、メーカー独自の品質検査による品質保証ラベルや羽毛専門の公的検査研究機関「CIL(コンフォートインデックスラボ)」が発行している「CILギャランティーラベル」などがあります。それぞれどのようなことを検査しているのか、知っておきましょう。
ゴールドラベル
羽毛布団の業界団体である日本羽毛製品協同組合が発行する品質ラベルです。
組成混合率やかさ高性、清浄度などを検査しています。試験方法や基準値などの詳細はJIS規格(日本工業規格)で定められたものに従っています。ゴールドラベルが付与されるのは試験に合格した羽毛を使って造られた羽毛布団のみです。
西川
羽毛布団の大手メーカーである西川では、独自の基準で組成混合試験、ダウンパワー試験、鳥種試験、洗浄度試験などの品質検査をおこなっています。
東洋羽毛 Dマーク
東洋羽毛でも独自に検査をおこなっています。検査に合格したものにDマークというラベルが付けられます。検査内容には羽毛のかさ高性や清浄度、組成混合率のほか、布団の側生地の検査や製品になった際の保温性の検査なども含まれます。
CIL(コンフォートインデックスラボ)ギャランティーラベル
CILギャランティーラベルは日本唯一の羽毛専門の公的検査機関である「CIL(Comfort Index Lab:コンフォートインデックスラボ)」が発行するラベルです。厳しい基準を設けて検査をおこない、羽毛本来の性能、品質を保証します。
羽毛の品質検査は何を調べるの?
どのような検査がおこなわれるのか、一般的な検査内容について詳しく見ていきましょう。
組成混合率
羽毛に含まれているダウン、フェザー、ダウンファイバー、フェザーファイバーきょう雑物(ゴミ)などを手作業で振り分けて、割合を調べます。
ダウンパワー
一定の量におけるダウンのふくらみ具合を検査します。スチーム処理した30gの羽毛を、内径29cmのシリンダーに入れて、その上から94.3gの円盤で加重し一定の時間を置いた後、シリンダーの底から円盤までの高さを計測して体積を求め、1g当たりの体積をダウンパワーとします。
鳥種混合率
組成混合率試験の選別を終えたダウンとフェザーからそれぞれ0.05gをランダムに採取し投影機で目視鑑定してグース/ダックの質量を算出します。これによりグースダウン、ダックダウン、グースフェザー、ダックフェザーの4種類それぞれの割合が算出されます。
清浄度
清浄度は羽毛を洗浄した水の透明度のことです。羽毛がどれだけきれいに洗浄されているかを見る検査です。羽毛を蒸留水で振とうし、ろ過した液を透視度計で確認します。日本では清浄度500mm以上が基準とされていますが、それ以上を基準としているメーカーが多いようです。
酸素計数
硫酸と過マンガン酸カリウムという薬剤を使って羽毛の表面にどれだけ有機物が付着しているかを調べます。清浄度試験と同じく、どれだけきれいに洗浄されているかが分かる試験です。CILでは合格基準を4.8mg以下としています。この数値が大きいほど洗浄が足りず汚れが残っており、臭いの原因になります。
油脂分率
精製された羽毛に残っている油脂分を測定します。油脂分が多すぎると臭いの原因となることがありますが、逆に少なすぎるとすぐにへたってしまう耐久性の低い羽毛ということになります。
PH
羽毛を蒸留水で振とうし、ろ過した液のPH値を測定します。羽毛はアルカリ性に弱いため、中性か弱酸性が望ましいです。これにより羽毛の耐久性が分かります。
その他にも、ほこりがどれだけ出るか、臭いの強さはどれだけあるか、一定量の羽毛でどれだけあたたかいか、などの検査もあります。
まとめ
羽毛布団は中身の見えない製品ですので、品質に信頼がおけるかどうか、何を信頼していいのか、悩まれる方も多いのではないでしょうか。
ラベルの表示はそんな消費者にとってとてもありがたいものですが、「ラベルがついているから大丈夫」といって購入するのではなく、そのラベルがどのような品質を保証するものなのか、どのような検査がおこなわれて、どのような基準をクリアしているのか、を購入前にしっかりリサーチしておくことも大切です。
今回の内容をまとめておきましょう。
・羽毛布団の品質を示すラベルはさまざまなものがある
・独自の検査基準を設けているメーカーもある
・「組成混合率」「ダウンパワー」「清浄度」「酸素計数」「油脂分率」「PH」などを検査して品質をみる
・ラベルがあるから良さそう、という理由で購入せず、どのような品質を保証するものなのかよくリサーチをしてから購入することがおすすめ