羽毛の洗浄について知りたい!洗浄工程や洗浄度の規格は?
羽毛の洗浄は羽毛布団を作るうえで、とても重要な工程。
羽毛についた汚れや臭いを取り除くだけでなく、長時間かけて海外から輸送され、へたってしまった羽毛を洗浄することでふっくらとよみがえらせます。今回は羽毛の洗浄について調べてみました。
羽毛の洗浄工程を知りたい!
①除塵
まず除塵機で羽毛に付着したゴミやホコリ、小さすぎるダウンやフェザーを取り除きます。ここでしっかりホコリや不純物を取り除いて洗浄の効果を高めます。
②洗浄・脱水
次に、羽毛用の洗浄機で油脂や土汚れなどを落とします。天然水のみで洗うという業者もありますが、羽毛用の洗剤を使用する業者もあります。しっかりと洗うことでホコリや臭いの発生を防ぎます。その後、脱水機で脱水をおこないます。
地下水・湧き水・天然水で洗うのはどうして?
地下水や湧き水、天然水などで羽毛を洗っている、という業者をよく見かけますが、これは、湧き水や天然水は水の分子構造が普通の水よりも細かく、汚れが落ちやすいためです。
洗剤を使わなくても羽毛に付着した細かな汚れを落とすことができ、さらに温水にすることで浸透性も高まり、小羽や羽枝の間に入り込んだ汚れまで落とすことができます。
また、洗剤を使わないので羽毛の自然な油分を落としすぎないので、羽毛本来のふっくらとした風合いを残すこともできます。
③乾燥
約150℃ほどの高温の熱風を当てて乾燥させます。しっかりと乾燥させることで羽毛が開いて空気を含みます。乾燥の度合いが羽毛のふっくら感に大きく影響するのです。また、高温で乾燥させるため、滅菌や消臭効果もあります。
④冷却除塵
高温で乾燥させた羽毛を冷まして、さらに付着している細かなホコリを取り除きます。冷却することで羽毛のタンパク質の臭いを取り除くこともできます。
⑤選別
最後はダウンとフェザーを分ける選別をおこないます。
何層かに階層になった部屋の下から風を送り込み、ダウンとフェザーを吹き上げます。より軽い羽毛が上の部屋に入り込み、重いフェザーは途中で落ちて下の部屋に入ります。上質な羽毛ほど空気を多く含んでより上に吹き上がります。
羽毛の洗浄具合の目安は?
日本では「羽毛がどれだけきれいに洗浄されているか」について『JIS規格』で清浄度の数値や検査方法などが細かく決められています。
清浄度とは羽毛を洗った水の透明度のこと。水の透明度を計る透視度計で500mm以上で満たした水を上から覗き込み、底に書かれた二重十字がくっきりと見えるところまで水を抜いていき、そのときに残った水の量を清浄度とします。『JIS規格』ではこれが500mm以上であることが求められています。
清浄度のほか、酸素計数も羽毛がきれいに洗えているかの目安となる基準です。羽毛の有機物残留量を検出して調べます。これは『JIS規格』では4.8mg以下と決められています。この数値が高いと臭いの原因となる物質が付着していたり、汚れが残っていたりすることがあります。
羽毛をしっかり洗浄してくれる業者は?
今回は羽毛のクリーニング業者ではなく、羽毛布団製造工程における羽毛原料の洗浄をおこなっている業者を探してみました。
河田フェザー株式会社
1891年創業の羽毛素材メーカー。湿度が低く、羽毛の羽枝が開きやすい気候の三重県多気郡明和町に羽毛洗浄工場があります。
世界有数の降雨地、大台ケ原山地から流れる地下水を使用し、世界トップレベルの技術で原毛に付着した細かなホコリやアカをしっかり洗い落とします。
また羽毛同士で羽毛を磨くように洗う「磨き洗い」をしているのも河田フェザーの特徴です。磨き洗いをすることで表面がなめらかで、製品にしたときにホコリがでにくい羽毛になります。
富士新幸株式会社
羽毛原料の調達から羽毛布団の製造までを国内自社工場でおこなっている羽毛メーカー。清流に恵まれた山梨県都留市の地下水を使用して時間をかけてしっかりと洗浄しています。
東洋羽毛工業株式会社
1950年創業の羽毛メーカー。羽毛原料の調達、羽毛素材の研究開発、羽毛製品の製造などをおこなっています。長年の経験や研究を活かし、時期や場所、種類によって質の異なる羽毛に合わせて、最も適切な洗剤をその都度作って洗浄に使用しています。
まとめ
今回は羽毛の洗浄について調べてみました。デリケートな羽毛を洗うのはとても繊細な作業。いろいろな工程をそれぞれ微妙な加減でおこなって、あのふっくらとした羽毛に仕上げていることが分かりました。今回の内容をまとめておきます。
・羽毛の洗浄工程は「除塵」「洗浄・脱水」「乾燥」「冷却除塵」「選別」
・地下水など天然水は水の分子構造が細かいので羽毛の細かな汚れを落とすのに適している
・「羽毛がどれだけきれいに洗えているか」を表す清浄度は500mm以上と決められている