ずっと快適に使いたい!羽毛布団の正しいお手入れ方法とは?

2022年3月21日

ずっと快適に使いたい!羽毛布団の正しいお手入れ方法とは?

ふんわりと軽く暖かい羽毛布団は、一度使ったら手放せない寝具のひとつです。その快適な寝心地をいつまでもキープしたいですよね。

人間は一晩にコップ1杯分の汗をかくといわれていますが、羽毛の掛け布団は吸湿・放湿性に優れているのが特徴。

一般的には10年から15年の寿命といわれている羽毛布団ですが、高級な羽毛布団はきちんとお手入れしていけば30年以上使い続けることもできます。

数年で買い替えるか、長期間使い続けることができるかは、やはり日頃のお手入れが肝心です。とはいってもそんなに難しいことではありません。日々のケアから定期的におこなうスペシャルケアまで、羽毛布団をより長く快適に使い続けるお手入れ方法を解説します。

1.快適な寝心地を保つために毎日心がけたいこと

買ったばかりの羽毛布団と、数年使用したものの違いは何でしょう?

それは、汚れているかいないかです。使っていれば、汗や皮脂によって襟元や生地が汚れていきますよね。このとき、中の羽毛も汗や皮脂を吸って汚れていきます。

いくら吸湿・放湿性に富んだ羽毛布団でも、汗や皮脂が蓄積されていけば、ダウンボールは汚れて小さくなり、その機能を失っていきます。ふくらみが減り、保温性も落ちてしまいます。羽毛の働きを守る普段のお手入れの仕方を説明しましょう。

1−1カバーを掛けましょう

側生地の汚れや擦り切れを防ぐために、布団カバーは必ず掛けましょう。カバーを掛けた方が、暖かさや保温力もアップします(羽毛布団の特性から、カバーはサイズに合ったものが羽毛布団の効果を引き出します)。

本体まで汚れが浸透しないように、また汚れは時間が経つと酸化して落ちにくくなるので、カバーは洗い替えを用意しておきこまめに洗濯しましょう。

1−2朝起きたあとの収納

起き抜けは、自分の体温で温められた熱や湿気が布団にこもっています。しばらくはそのままにし、熱や湿気を発散させてから押し入れにしまいます。

敷きふとんは、フローリングなど通気性のない床の上だと水分の逃げ場がなくカビが発生する場合があるので、敷きっぱなしは避け、毎日上げ下ろしをしましょう。

1−3日頃から羽毛のためにちょっとした配慮を

羽毛

・毎日使っていると、どうしてもブロック内で足下の方向へダウンが偏りがちになります。時々、足下の両端を持って軽く振り、偏りを整えます。

・カバーの柄などにもよりますが、上下、裏表、まんべんなく使えるようであれば入れ替えて使います。その方が傷みが偏らず、長持ちします。

・たくさんの空気を抱え込んでいる羽毛は、空気と一緒に匂いまで取り込むことがあります。強い匂いのする物を近くにおかないようにしましょう。

・羽毛布団の側生地に針や安全ピンを刺すことは絶対に禁物です!小さな針穴でも、中の羽毛が噴き出す原因になります。例えば、襟元の汚れ防止にタオルを縫い付けたり、安全ピンで留めたりすることはしないで下さい。付けたい場合は、カバーに取り付けます。

・ペットがいる場合は、羽毛=鳥の匂いに反応して噛む可能性があります。なるべくペットは近づけず、かじらせないように配慮しましょう。

この他、製品に付いている説明書には必ず目を通し、注意事項を守ってください。

2.羽毛布団の干し方

布団のお手入れと言えば、必ず思い浮かぶのが天日干しですが、そもそも羽毛布団を干していいのかどうか心配な方もいるのではないでしょうか。もちろん日干しもできますが、羽毛を傷めないポイントをしっかり押さえておく必要があります。干すタイミングから手順までを詳しく解説します。

2−1布団干しの効果

羽毛布団は吸湿・発散性に優れているため、綿布団のように頻繁に干す必要はありません。月に1〜2回程度で十分です。干すことで中の空気がふくらみ、より保温性を高めることができます。また、日干しすれば日光消毒にもなります。

2−2干すときのポイント

朝夕の湿気が多い時間帯を避け、午前10時から午後3時(冬は午後2時)までの間に、片面1時間ずつ、合わせて2時間程度日陰で風通しの良い場所に干します。晴れていても、雨の日の翌日は前日の湿気が残っているのでやめておきましょう。

マンションのベランダなど、日が当たる場所でしか干せない場合は、日干しでも大丈夫です。直射日光による側生地の色褪せや傷みを防ぐため、必ずカバーをかけて(またはシーツなどで覆って)干します。

過度な日干しは、羽毛布団の劣化につながります。陽射しの強さにもよりますが、片面30分〜1時間程度、表裏合わせて2時間程度までにします。また、シルクの側生地は、長時間日光に当てると紫外線を吸収して黄色く変色するため、日干しは避けましょう。

2−2−1やってはいけないこと

パンパンと布団を強くたたいてはいけません。ダウンや側生地を傷めることになります。後述しますが、ホコリやダニが気になる場合は、取り込んだ後でやさしく掃除機で取り除きます。

また、カバーをかけて干したとしてもあまりにも高温になる真夏の直射日光が当たる場所で長時間干すのはやめましょう。ダウンボールは高温で割れやすくなる(枝羽になってしまいます)ため、保温力が低下し、せっかくの品質が落ちてしまいます。

2−3取り込んだ後は

布団の表面にゆっくりと丁寧に掃除機をかけてください。表面に付いたホコリやダニが除去され、より清潔を保てます。キルティングの縫い目にもホコリが付きやすいので、できればブラシで丁寧に取り除いてください。側生地を傷めないよう、掃除機で強く押したり激しく吸引しないでください。羽毛布団はやさしく丁寧に取り扱いましょう。

2−4カバーも洗いましょう

週に1回程度、定期的にカバーも洗濯します。清潔なカバーを使用することで、本体に汚れが浸透するのを防ぎます。カバーは2枚用意しておくと洗い替えができるので、こまめに交換できます。

2−5布団が干せないとき 布団乾燥器や除湿器などによる乾燥

お天気が悪い時期は、布団乾燥器や除湿器を使って乾燥させる方法もあります。

布団乾燥機を使用する場合は、高温(70度以上)になりすぎないように注意が必要です。温度調節が出来ないものであれば、乾燥袋と羽毛布団の間に、毛布やタオルケットを1枚はさみます。布団乾燥機をかけているときは部屋の換気をし、布団から出た湿気を追い出して下さい。

ハンガーラックなどに布団を掛けて、除湿器を運転するのも効果的です。

布団乾燥器や除湿器がない場合でも、背もたれのある椅子を2脚用意し、背中合わせに少し離して並べ、その上に布団を掛けて、扇風機や暖房機の風を当てておくのも手軽な方法です。

3.こんな時、どうする?

使っていると、思わぬハプニングや気になるトラブルが発生することもあります。その対処方法を解説します。

3−1ニオイが気になる時

梅雨時から夏場にかけては、高温と多湿によりややニオイが気になる場合があります。

しっかりと洗浄されたものでも、ダウンに残されている油脂分が溶け出して臭いの原因になったり、湿った状態での雑菌の繁殖などが原因として考えられます。もともと洗浄不足だっという可能性も考えられます。

ニオイを和らげるポイントは、乾燥と通気を良くすることです。羽毛布団を小さくたたんで、ニオイを含んだ中の空気をよく押し出します。そのあと風通しの良い場所にしばらく干します。それでも解消しない場合はクリーニングします。

3−2濡らしてしまった!汚してしまった!

ジュースをこぼすなど、濡らしてしまったときは、すぐに水でつまみ洗いし、洗剤が必要なときは石鹸は使わずに、ヘアーシャンプーまたは中性洗剤を使います。

洗った後は十分にすすいで乾燥させます。そのとき、中の羽毛をほぐすように時々動かしながら乾燥します。

側生地がシルクの場合は水洗いできませんので、すぐにクリーニングへ。血液や尿などの落ちにくい汚れの場合もクリーニングをおすすめします。

3−3生地が破れた、羽が飛び出してくる

羽毛布団は羽毛が飛び出さないよう、高密度に織られた生地の目をさらにつぶしたダウンプルーフ加工という特殊な加工を施してあります。

それでも、ミシン目や生地から羽毛が出てきた場合は、引き抜いてしまうとその穴を大きくしてしまいますので、押し込むかその裏側から側生地越しに出ているダウンを引っ張って引き戻して下さい。戻した後は、生地をやさしく揉みほぐし、穴を小さくしておきます。

側生地が破れてしまったときは、取扱説明書に従って付属されているアイロン熱で貼付ける補修布でふさぎます。

4.クリーニング

クリーニング

羽毛布団はカバーをこまめに洗濯していれば、そんなに頻繁にクリーニングする必要はありません。

むしろ、クリーニングによる側生地の劣化やダウンボールの損傷はゼロではありませんので、頻繁におこなうのはお薦めできません。

しかし、長期間の使用で少しずつ蓄積した汚れによって、匂いや襟元の汚れが気になったり、干してもふくらまずへたりを感じたときは、クリーニングの時期と言えます。

丸洗いすることで、汚れによって小さくなっていたダウンボールが、再びふっくらとした風合いを取り戻します。使い方にもよりますが、掛布団であれば5年程度、敷き布団であれば3年程度が目安です。

あくまでも目安ですから、日頃のお手入れや収納場所、汗の量など個人差もふまえて汚れが気になるようであれば、もちろんこれより短くてもかまいません。

※羽毛布団のクリーニングについては「羽毛布団をクリーニングするタイミングとお店選びの注意点」でも詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひ参考にしてみて下さい!

4−1水洗い

羽毛布団をクリーニングに出すときは、水洗いを指定します。

水で丸洗いすると、羽毛に適量残されている油脂分に影響を与えないで、水溶性の汚れである汗、塩分などの汚れを取り除くことができます。蓄積していた汚れが落ち、爽快感やふんわりとした風合いがよみがえります。

ひと口に水洗いといっても、業者によって様々な方法があります。洗剤の選定や、洗濯温度、洗濯機の回転速度や洗い方、乾燥の仕方など、側生地やダウンの機能を損ねない羽毛布団専用のプログラムがある専門業者がお薦めです。

家庭でのお洗濯による水洗いですが、場合によっては、側生地を傷めたり、羽毛を劣化させてしまう可能性があるため、十分注意が必要です。シングルサイズ(150㎝×200㎝)で、充填量が600gより少なく、ウォッシャブル表示のある薄手の布団であれば、説明書に従って洗うことも可能ですが、それ以上の厚手の羽毛布団は、専門店でのクリーニングをお薦めします。

4−1−1ウォッシャブル加工

肌掛け(ダウンケット)や合掛けなど、薄手の羽毛布団は羽毛の充填量が少なく、家庭の洗濯機にも入るため、最近では手軽に洗えるウォッシャブル加工されたものが増えてきています。ウォッシャブル加工は、家庭で洗うことを想定して、乾燥しやすいように羽毛に撥水加工を施したものです。撥水加工処理済の羽毛は、未処理のものと比べ、乾燥性が格段にアップしています。

家庭で洗う場合は、必ず中性洗剤(いわゆるおしゃれ着洗い用の洗剤)を使用します。羽毛はケラチンというタンパク質が主成分です。酸に強く、アルカリに弱いため、石鹸やアルカリ性の家庭用洗剤で洗濯すると、羽毛を傷めてしまいます。

洗濯後の羽毛は団子状になっています。効率良く乾燥させるためには、できるだけ大きな乾燥機の使用が望ましいところですが、60度以上の高温乾燥やコインランドリーの乾燥機では、側生地や羽毛を傷める可能性がありますのでお勧めできません。よく晴れて乾燥した日に、中の羽毛を揉みほぐしながら、十分に乾燥させて下さい。内部に湿り気が残っていると、カビや雑菌の繁殖による悪臭の原因になるので、乾燥後は、さらに一日広げて自然乾燥することをお薦めします。

4−2ドライクリーニング

羽毛布団はドライクリーニングもできます。汗などの水溶性の汚れは落ちませんが、油性の汚れやホコリなどを落とすことができます。

石油系の溶剤を使用するため、羽毛の表面を保護している油脂分を落としてしまいますので、あまり頻繁におこなうことはお薦めできません。

5.シーズンオフの収納

シーズンオフの収納

いくら快適な羽毛布団でも、一年中使うというわけではありません。秋から初夏まで比較的長い期間使用しますが、気温が上がり汗をかく真夏の時期は、薄い布団に交換してからしまうという方が多いでしょう。

次のシーズンに、また心地よく使えるように収納方法のコツを解説します。

5−1収納の仕方

しばらく使わないときは、1度干してから収納します。

購入した時に納められていたケースが、布製、または不織布製で、通気性のよいものであれば、そのケースに、購入時の状態で収納します。

2面以上がビニール製のケースの場合は通気性の観点から使用せず、コンパクトにたたんでから、通気性の良い木綿の風呂敷やシーツなどの大きな布で包みます。

5−1−1コンパクトなたたみ方

まずシングルサイズであれば縦に三つ折り,ダブルサイズであれば四つ折りにし、さらに両側から3分の1のところで内側に折り込むか、ロールケーキのようにくるくると巻きます。

5−1ー2圧縮袋は使わないで!

掃除機で中の空気を吸い取り圧縮する布団圧縮袋は、ダウンボールを潰してしまいます。取り出して空気を含ませた時には、一見戻っているようにも見えますが、潰れた状態で保管されたダウンは、やはりダウンパワー(=保温力)が低下しています。羽毛布団の寿命を縮めてしまうので絶対に使わないで下さい。

5−2防虫対策

防虫剤の使用は取扱説明書に従います。防虫剤が側生地に直接触れると、生地によっては変色する場合もあるので、ガーゼなど通気性のある布に包んで入れます。

5−3保管場所

羽毛は、できるだけ乾燥した状態で保管することが大切です。押し入れであれば上段を選ぶなど、なるべく湿気が少ない場所を選びます。

それでも湿気が気になるときは、押し入れの床と壁にスノコを敷きます。また、湿気取りシートなどの乾燥剤を入れておくと良いでしょう。布団の上には、毛布など重い物は置かないようにします。

5−4長期保管中のケア

湿気や匂いの対策として、時々収納場所を開放して除湿器を掛けたり、空気の入替えをします。夏場は保管されていることの多い羽毛布団ですが、ひと夏に一度くらいは、天気のよい日に収納場所から取り出して干し、再び収納するひと手間をかけてあげると、耐久性が向上します。

5−5久しぶりに使うときは

保管中の臭いが気になるものです。3−1臭いが気になる時をおこなって下さい。

6.羽毛布団のお手入れまとめ

いかがでしたか?羽毛布団に関する、正しいお手入れの仕方や気をつけることが、お分かりいただけたでしょうか。

これまでの内容をまとめると、

・羽毛布団は必ずカバーを掛け、カバーはこまめに洗う。

・月に1度は干し、ふっくらさせる。

・干しても、ふくらみが悪くなってきた場合は丸洗いクリーニングする。

・シーズンオフの収納は乾燥した場所で通気性の良いケースに入れて収納する。

ということが大まかなお手入れの仕方になります。

扱いの難しそうなイメージのある羽毛布団ですが、正しい知識を頭に入れてしまえば、そんなに難しいことはありません。

汚れをためない、ダウンボールを潰さない、乾燥を心がけるといったポイントを押さえて、大切な羽毛布団を長く快適に使えるようケアしてあげて下さい。