自分に合った理想の枕の選び方のポイントと失敗した時の対処法

2022年3月19日

自分に合った理想の枕選び、ポイントは

寝具の中でも特に難しいのが「枕選び」かもしれません。

評判の良い枕や高価な枕を購入してみたけれど思ったより自分に合わなかった、なんて話をよく耳にします。それだけ枕は使う人の体に合っているかどうかが問われるアイテムといえるでしょう。

枕選びに失敗すると、「肩こりや頭痛の原因は枕?枕が合っていないかわかる9つのチェックポイント」で紹介したような体の不調に繋がりかねません。

今回は理想の枕選びにおける具体的なポイントをお話しいたします。

枕選びのポイント

あなたにぴったりの理想の枕選び。まずはどのように選んでいけばよいでしょうか。

① 大きさを選ぶ

まずは枕の大きさを選びましょう。枕の大きさはさまざまです。

一般的なサイズは43×63cmで、それよりもひと回り大きい50×70cmと、ひと回り小さい35 ×55cmなどがあります。体型や好みによって自分に合ったものを選んでください。

寝返りをしたときに落ちてしまわないように、頭3個分くらいの大きさがあるものがベストです。

② 形を選ぶ

いわゆる一般的な枕の形状のほかに、最近では寝心地を追求したさまざまな形の枕があります。

首筋のフィット感がポイントになりますが、フィットする枕が苦手な方は標準的な中央部がふくらんだ枕をおすすめします。

・標準タイプ

中央部にふっくらとふくらみのある、いわゆる一般的な枕です。

・くぼみタイプ

中央にくぼみがあるタイプです。くぼみ部分に頭がおさまり首筋もフィットするので安定感が得られます。

・ダブルサイズタイプ

幅のあるダブルサイズベッド用の枕ですが、一人でゆったりと使いたいという方におすすめです。

・分割タイプ

ちょっとユニークな見た目ですが、枕をユニットに分けて素材を詰めているものが分割タイプです。
ユニットごとに詰め具合を調節することができるタイプもありますので、より自分に合った枕を作ることができます。

・ウェーブタイプ

低反発枕によくある形で、首筋をしっかりサポートしてくれます。

・三日月タイプ

首や肩にフィットするように作られた三日月型タイプ。首への負担が少なく、こちらも低反発枕によくある形です。

③ 素材を選ぶ

次に、素材を選びましょう。硬さ、やわらかさ、通気性、お手入れ方法などを重視してみてください。

気になる素材が見つかったら、可能であれば店頭で感触を確かめてみましょう。なるべく好みの感触の素材を選ぶことをおすすめします。

夏には通気性の良いそばがら、冬は保温性の高い羽毛、などと季節によっていくつか枕を使い分けるのもいいでしょう。

・ポリエステルわた

【特徴】わた状の人工繊維で、ふんわりしてやわらかい。
【硬さ】やわらかめ
【通気性・吸湿性】あまり良くない
【価格の目安】800円〜5,000円程度。
【メリット】柔らかくボリュームがありやさしく包まれるような寝心地。水洗いできるものは洗濯ができ清潔に保てる
【デメリット】使用していると弾力性がなくなってくる。ホコリがたまりやすい。
【お手入れ方法】水洗いができるものは月に1回程度の洗濯を。カビの原因になるのでしっかりと乾燥させてから使用をすることが大切です。
【買い替えの目安】1〜3年が買い替えの目安。ボリュームがなくなってきて、枕の高さが低くなったら買い替えましょう。ホコリがたまりやすい素材なので、水洗いができないものはこまめに買い替えることをおすすめします。

・ダクロン(R)(インビスタ社)高機能中綿

【特徴】ダクロン(R)とは、米インビスタ社が開発した、繊維1本1本の表面に特殊コーティングを施したポリエステル繊維の商標です。ダクロン(R)にも特長により色々な種類がありますが、その中でもコンフォレルダウンエッセンス™は極細の粒わたで、羽毛のようななめらかな柔らかさ。頭の形や動きに合わせてしんなりと動きますので快適に眠れます。
【硬さ】やわらかめ
【メリット】羽毛ではないのでザブザブ洗える。アレルギーをお持ちの方・羽毛のニオイがきになる方でも安心して使える。羽毛のような寝心地はキープしつつ取り扱いが楽。
【デメリット】羽毛のようにふんわりやわらかなので硬い枕を好む方には不向き。
【価格の目安】4,000円~15,000円程度。ダクロン(R)の種類にもよる。
【お手入れ方法】週に一度程度、軽くたたいて高さと形を整える。水洗い可能だが手洗いがオススメ。
【買い替えの目安】比較的長く清潔に使えますが、中綿のボリュームがなくなってきたら買い替えましょう。

・低反発ウレタン

【特徴】スポンジ状の素材。ゆっくりと沈んでゆっくりと戻って来るのが特徴。体重と体温に反応して沈み、体の圧力を一点に集中させずに分散させる。そのため体への負担が少ない。
【硬さ】やわらかめ
【通気性・吸湿性】良くない
【メリット】使う人の体型に合わせて形状が変わるのでフィット感がある。
【デメリット】寒くなると硬くなる性質がある。夏は熱がこもりやすい。
【価格の目安】4,000円〜15,000円程度。比較的安価なものは、寒くなると硬くなりやすいことが多いです。高価で品質の高いものは目が細かく硬くなりにくいですが、重さが重くなる傾向にあります。
【お手入れ方法】洗濯は水洗いができるように特殊加工をほどこしているもののみ可能。
【買い替えの目安】半年〜3年程度を目安に買い替えるといいでしょう。使い続けるうちに低反発ウレタン独特のモチモチとした柔軟性が失われていきます。それによって体圧を分散させる効果も期待できなくなってしまいます。柔軟性がなくなり、形が崩れてしまったら買い替えましょう。

・スノー低反発(粉砕低反発)

【特徴】低反発ウレタンを細かくした素材で、握ると小さくまとまってゆっくり元の大きさに戻ります。その特徴が雪のようなことからスノー低反発と名付けられています。低反発ウレタンのフィット感と羽根枕の包み込まれるような心地よさがあります。
【硬さ】やわらかめ
【通気性・吸湿性】あまり良くない
【メリット】フット感がありながらふんわりと包まれる心地よさがある。低反発ウレタンに比べると通気性がある。
【デメリット】中の素材がかたよってしまったり、雪のようなさらさらとした感じが使用するうちになくなってしまうことがあります。使い始めはウレタン素材独特の臭いがすることがあります。
【価格の目安】5,000円〜15,000円程度。
【お手入れ方法】水洗い不可がほとんど。風通しの良いところで陰干ししましょう。
【買い替えの目安】使い続けるうちに中の素材が一体化して硬くなってしまいます。ふわふわ感がなくなってつぶれてきたら買い替えましょう。目安は6ヶ月〜1年程度です。

・パイプ・ストロー

【特徴】ストローを細かく切ったような形をした素材で、大きさや硬さにバリエーションがあります。
【硬さ】かため
【通気性・吸湿性】通気性は良いが、吸湿性はあまり良くない。
【メリット】通気性が良く、ホコリや虫がつく心配がありません。また耐久性にもすぐれ、水洗いも可能。へたりにくいのも長所です。
【デメリット】大きくて硬めのパイプはごつごつしていて、寝返りをうつ時に音が気になる場合があります。
【価格の目安】2,000円〜5,000円程度。
【お手入れ方法】水洗いが可能なのでこまめに水洗いをしましょう。素材の耐久性も高いので安心して洗えます。
【買い替えの目安】比較的長く、清潔に使えますが、パイプがつぶれてボリュームがなくなってきたら買い替えましょう。3〜5年が目安です。

・ビーズ

【特徴】発泡スチロールを小さく粒にしたような素材で、独特の触り心地でで、クッションやぬいぐるみなど癒しグッズによく使用されています。
【硬さ】やわらかい
【通気性・吸湿性】通気性は良いが、吸湿性は良くない。
【メリット】ビーズの粒が極小なので形が柔軟に変形しフィット性があります。触り心地が気持ち良い点にも魅力があります。
【デメリット】熱がこもりやすい素材です。安定感がないと感じる方もいます。
【価格の目安】3,000円〜12,000円程度。
【お手入れ方法】特殊加工をされた水洗いができる商品以外は洗えません。洗う場合は自然乾燥がベストです。熱を使う乾燥機やドライヤーなどは避けましょう。普段は風通しの良い場所で陰干しを。
【買い替えの目安】柔軟性・流動性が高いため、ビーズ自体より、カバーや内袋の寿命の方が傷みやすいです。ビーズ自体は、長く使うことで使い心地が悪くなるといった変化はあまりありません。1〜5年程度を目安に買い替えるといいでしょう。

・コルマ、丸ビーズ

【特徴】コルマはプラスチックボールの中に大きな穴が空いたものです。
【硬さ】かため
【通気性・吸湿性】通気性は良いが、吸湿性はあまり良くない。
【メリット】中が空洞になっているので、通気性にすぐれています。素材一つ一つが球状になっているので、柔軟性やクッション性があります。
【デメリット】中の素材がゴロゴロと動く音が気になることがあります。
【価格の目安】2,000円〜5,000円程度。パイプに比べると高め。
【お手入れ方法】水洗い可能なのでこまめに水洗いをしましょう。耐久性が強いので安心です。
【買い替えの目安】球状なのでクッション性にすぐれていますが、復元力がなくなって、一つ一つの球の形が崩れてボリュームがなくなったら買い替える時期です。寿命は3〜5年が目安です。

・そばがら

【特徴】そばがらはそばの実の殻を乾燥させた素材で、日本では古くから使われています。重量感があり硬めのまくらです。
【硬さ】かため
【通気性・吸湿性】とても良い
【メリット】通気性・吸湿性にすぐれ、熱を逃がして汗などの水分を吸収してくれます。清涼感があり、熱がこもらないので、夏の寝苦しい夜などに特におすすめです。
【デメリット】使用しているうちにそばがらが潰れてしまうことがあります。また、天日干しをせずに長期間湿気の多いところに置いてしまうと、虫がわくことがあります。アレルギーやぜんそくの方にはおすすめできません。
【価格の目安】2,000円〜5,000円程度。比較的安価です。
【お手入れ方法】洗濯可能なそばがら枕も出てきていますが、基本は水洗いができません。できるだけ頻繁に天日干しをしましょう。天日干しをすることで虫の発生を抑えることができます。
叩くとそばがらが割れて粉が出てきてしまいますので、干す時は叩かないように注意してください。
【買い替えの目安】そばがらが割れてできた粉が増えると虫がつきやすくなったり、鼻炎やぜんそくの原因になることがあります。6ヶ月〜1年を目安に買い替えるといいでしょう。

・羽根、フェザー、羽毛

【特徴】水鳥の羽根・羽毛を使用し、ボリュームとふんわり感があります。包まれるような優しい寝心地です。
【硬さ】やわらかめ
【通気性・吸湿性】良い
【メリット】通気性・吸湿性が良く、保温性にもすぐれているので冬は温かく、夏は涼しいです。
【デメリット】安価なものは羽根独特の臭いがあるものがあります。また、枕の中から羽根や羽毛がでてきてしまうこともあります。
【価格の目安】3,000円〜15,000円程度と価格帯の幅が広い。品質の良い羽毛を使用している羽毛枕の場合は、数万円のものもあります。
【お手入れ方法】水洗いはできませんので、直射日光に当たらない風通しの良い場所で陰干しをしましょう。
【買い替えの目安】使用しているうちに弾力、ボリュームがなくなってきます。ボリューム感が減ると枕の高さが低くなってしまい寝心地にも影響が出てしまいます。1〜3年を目安に買い替えるといいでしょう。

・ひのき素材

【特徴】天然のひのきを使用した素材です。1cm程度のサイコロ状にしたり、カール状に巻いた形状のものがあります。
【硬さ】かため
【通気性・吸湿性】通気性・吸湿性ともに良い。
【メリット】ひのきの良い香りがリラックスできて睡眠を誘います。また天然ひのきの防虫防湿効果があります。
【デメリット】価格が比較的高めです。
【価格の目安】1,500円〜9,000円程度。
【お手入れ方法】水洗いができませんので、頻繁に天日干しをしましょう。
【買い替えの目安】比較的丈夫で、寿命が長い素材です。1年〜3年を目安に買い替えるといいでしょう。

④ 高さを選ぶ

使ってみたい素材が見つかったら、次は高さを決めます。ベッドマットや敷き布団と首の角度が約5度となるのが理想的な枕の高さといわれています。
その角度を保って、頸部と布団との間にできる隙間を埋める枕を選ぶといいでしょう。この隙間の深さは人により異なりますが、一般的には1〜6cm程度です。

最適な高さの枕を選ぶために店頭で計測をしてくれる専門店もありますが、計測を参考にしながら自分の好みも大切にしてください。

計測の結果で最適な高さの枕が分かっても、それが頸部を圧迫して気になる場合や逆に低すぎると感じる場合は購入を控えた方が無難でしょう。

また、横向けで寝た時に首が不自然に曲がらない高さのものを選ぶことも重要です。必ず横向けでも寝てみて確認しましょう。

持っている布団との相性も重要!

見逃しがちなのが、今使用している寝具との相性です。

敷き布団やマットレスが柔らかく沈みやすい場合は少し高めの枕を、逆に硬めの敷き布団やマットレスを使用している場合は、少し低めの枕を選ぶなど調整してみましょう。

自分の好みのものを選ぶことが一番

枕選びのさまざまなポイントをご紹介しましたが、一番大切なのはやはり自分の好みのものを選ぶことです。

知識を身につけて購入するメリットは大きいですが、自分の感覚に頼ることも大切。数値や理屈で考えて自分に合うとされる枕が見つかったとしても寝心地が好みでないものを毎日使うのはかえってストレスになってしまいます。

最後にたどり着くのは自身が心地よいと感じるかが重要といえるでしょう。

枕カバー選びも大切

枕には必ずカバーをつけましょう。枕は直接頭を乗せますので思っている以上に汗や皮脂で汚れています。カバーを取り付けることで清潔に保てるうえ、ダニ予防やアレルギー予防にも役立ちます。

選ぶ時には、枕に合った大きさのものを選びましょう。素材は、通気性を損なわない綿などの自然素材がおすすめです。綿にポリエステルの入ったものは、伸縮性や耐久性にすぐれています。

夏には清涼感のある麻のカバーにするなど、季節によって変えるのもおすすめです。

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店頭で枕を購入する時に気をつけるポイント

店頭で枕を購入するとき気をつけるとよいポイントをご紹介します。

・誰かと一緒に行く

寝ている姿は自分では見れないので、家族や友人と一緒に行って寝姿に無理がないかどうかチェックしてもらうとよいでしょう。

・仰向けだけでなく横向きでも寝てみる

寝ている時に寝返りをうつことを考えて、横向きの姿勢でも快適かどうかも忘れずにチェックしましょう。

・高い枕か、低い枕かで迷ったら低い枕を選ぶ

枕の高さで悩むことがあったら、低い枕を選びましょう。低い枕であれば、枕の下にタオルを入れるなどして簡単に調節をすることができます。

それでも失敗してしまったら……

あれこれ知識を身につけて、きちんと計測してコレだ! という枕を買ったはずなのに、それでも合わなかったということもあるかもしれません。

せっかく買ったのに使えないなんて……。と落ち込んでしまいますが、大丈夫! 自分で枕を調節してみましょう。

【高く感じる場合】

・肩の下にタオルを入れて肩の部分を少し高くする

・枕の位置を下げて肩までをサポートするようにして使う

・山が低い方を手前にして使う

・低反発ウレタン素材の場合はできるだけ部屋の温度を上げて柔らかくして使う

低く感じる場合

・枕にタオルを巻くか、枕の下にタオルを敷いて厚みをつくる

まとめ

いかがでしたか? あなたにぴったりの枕は見つかりそうでしょうか。

理想の枕を選ぶために大切なことを、もう一度おさらいしておきましょう。

・素材、大きさ、高さの理想は参考までに。自分の好みを優先する

・今持っている布団との相性も考える

・店頭で試すときは、必ず横向けでも試してみる

ぜひ枕選びの参考にしてみてください。