枕選びのキーポイント!良質な眠りをもたらす枕の最適な高さ

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よく「枕が変わると眠れない」という話を耳にします。気持ちの問題だけではなく、人体のメカニズムから考えてみても、枕と睡眠には深い関わりがあるのです。

私たちが枕を選ぶとき、心地よい眠りのために、一番大切なことは何だと思いますか?

素材や形状など、多種多様な選択肢はありますが、睡眠の質に最も影響を与えるのは、枕の高さです。自分にぴったり合う枕の高さの見つけ方について解説します。

1.理想的な睡眠姿勢における枕の役割

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人は夜に睡眠をとることによって、昼間に酷使した神経や身体を休め、体内のメンテナンスをおこないます。熟睡できれば、心身ともに回復し、翌日にはまた元気に一日を過ごすことができます。ぐっすりと眠り、すっきりと目覚める、そんな朝を迎えられたら、睡眠による回復を実感できますよね。そのためには、量ではなく、睡眠の質を上げることが大切なのです。まずは、良質な眠りを導く理想的な睡眠姿勢と、それを支える枕の役割から説明しましょう。

1−1立っているときと同じ姿勢をサポートする

発生学的にみると、本来、人間の姿勢は首から胸、背中にかけてまっすぐであり、平らな場所で仰向けになった状態が一番自然な状態です。しかし、直立二足歩行へと進化してから、縦方向に重力がかかり、その衝撃をうまく緩和するために、背骨は緩やかなS字カーブを描くようになりました。

背骨のカーブは、全部で24個の椎骨から成り立っています。上から順に、頭と胴体をつなぐ7個が頸椎(首の骨)、その次の12個が胸椎、さらに5個の腰椎が連なり、全部合わせて脊椎と呼んでいます。その並びを前後左右から支えているのは、靭帯と筋肉です。そして、その中心には、脊髄神経という重要な神経の束が通っています。束になっている脊髄神経は、枝分かれして頸神経となり、首の骨と骨の隙間から頭や首、肩、腕に伸びています。このため、首は頭と胴体をつなぐ連結部であるだけでなく、全身を司る神経が集中するとても重要なパーツになっています。人は手足の骨を折っても生きていられますが、首の骨を折ると死んでしまいます。それほど、生命を維持し、健康を保つ重要な部分なのです。

首の骨は背骨に対して前かがみになっています。理想的な睡眠姿勢は、人間が立っているときと同じように、この姿勢を保てる状態です。この角度が妨げられ、不自然な角度になっていると、首周りの筋肉が緊張します。神経に栄養を運ぶ血管がしめつけられ、結果、神経を痛めることになります。枕は、その高さで首から頭部を支え、体を横たえても、立っている時同様の自然な形に導き、楽に休める役割を担っているのです。

1−2頭の重みからの開放

また、二本足で立って生活している人間の体は、常に首ひとつで頭の重さを支えています。頭を起こしている日中の姿勢は、体重比で10%(=成人で約4~6kg)あるといわれる頭の総重量を、首ひとつで支えている非常に負担の大きい状態です。その負担から唯一解放されるのは、眠っている間だけですから、夜には体を横たえ、その重みから首を解放してあげなくてはいけません。一日の疲れをしっかりと癒すためには、睡眠時に首に負担をかけてはならないのです。

 枕は、理想的な睡眠姿勢において、首という重要なパーツをリラックスさせるために欠かせないアイテムだということがおわかりいただけましたでしょうか?

 

2.枕の高さが合っていないとき

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しかし、自分にぴったりと合う枕の高さで理想的な睡眠姿勢を得ている人は意外に少ないのです。

人は立って歩き出したばかりに枕が必要になりました。生まれたての赤ちゃんは枕をしませんし、また必要もありません。人間が仰向けで寝た時に本来の姿勢を保とうとすると、背骨がS字カーブを描いているため、敷布団と頭や首の間に隙間ができます。枕はその隙間を高さで補うものですが、枕がわずかでも高すぎたり、低すぎたりすると、首は自然な角度を失い、不良な角度に折れ曲がって頸神経の出口を圧迫します。自分に合った高さでなければ、骨や筋肉が無理に伸びたり縮んだりした状態で体に負担をかけてしまうのです。

寝ているときや、起床時に、次のような事柄で思い当たることはありませんか?

 ・枕の高いところ(または低いところ)を求める

・枕の下に手を入れている

・頭の下に枕がない、または枕がずれている

・枕を肩下に引き込む

・枕の中央が深くへこんでいる

・体のどこかに痛みやしびれがある

 心当たりのある方は、枕の高さが合っていない可能性が高いのです。

高すぎる、または低すぎる枕を使っていると、体にどのような影響や症状があらわれるのでしょうか。

2−1高すぎる枕

高すぎる枕をすると、首の下に隙間ができています。顎が引けた状態になるので、肩や首の筋肉に負担がかかります。また気道が圧迫されて狭くなるため、いびきがでやすくなります。頭痛、肩こりなどの原因にもなります。首のしわも増えます。

2−2低すぎる枕

頸椎を支えられないため、自然なカーブや傾きに負担がかかります。顎が上がり、頭部が沈んで血液が頭部に下がるため、脳への刺激が増え、眠りも浅くなります。舌が気道に落ちるため、いびきの原因になることもあります。顔のむくみ、寝違えや肩こりなども誘発する原因になります。

2−3合わない枕による様々な症状

この他、近因、遠因を含めると、体に合わない枕による首を含めた背骨全体への影響がもたらす症状として、手足のしびれや痛み、首の痛み、耳の痛み、頭痛、めまい、睡眠時無呼吸症候群、不眠などがあげられます。

もちろん、枕だけではなく、敷布団との兼ね合いや他の様々な要因も考えられますが、まずは睡眠姿勢に一番影響する枕の高さを見直すことをお薦めします。

自分に合う枕の高さに調節することで、ただ眠っているだけの睡眠時間が、体の不調を改善する時間になるのです。人は人生の約3分の1を眠って過ごします。積み重ねることで、実際に思ってもみなかった慢性的な症状が緩和されることも多いのです。

 

3.リラックスできる枕の高さを決める3つのポイント

これまでの流れをふまえて、枕の高さを決めるポイントをまとめてみましょう。

 3−1自然な姿勢を導く高さ

緩やかなS字カーブを描く背骨は、前かがみになった首の骨=頸椎につながっています。さらに頸椎は、側面から見るとC字状にカーブしています。重い頭を支えて、バランスよく動くために、とても効率的な姿勢になっています。仰向けになった状態でも、横向きになった時でも、この自然なカーブと角度を保つ高さが必要です。

 

3−2頭の血を下げる高さ

安静な状態で頭を休めて眠るときに、頭に血がのぼっていては休まりません。枕には頭の血を下げる役割もあります。また、心臓より低い位置に頭があると、顔や頭にのぼった血液の循環が滞り、朝起きた時に顔がむくんだりもしますから、頭が心臓より少し高くなる高さが必要です。

 

3−3スムーズに寝返りできる高さ

人間の体には、血液、リンパ液、関節液など、様々な体液が流れています。ずっと同じ姿勢のままで眠ると、同じ場所が圧迫されて体液の循環が滞ります。体液の滞りは、体内の諸機能の滞りになります。これを防ぐために寝返りが必要なのです。寝返りは無意識の行動ですが、その必要性から、妨げられてはいけません。個人差はありますが、人は一晩に約30回の寝返りを打っています。スムーズに寝返りが打てる高さであることも重要な要素です。

 

 

4.最適な枕の高さの探し方

3つのポイントをふまえ、実際に自分に合う枕の高さを見つける方法を説明します。

鏡で自分の寝姿をみながらおこないます。側面からのチェックや計測は、第三者に協力してもらいましょう。

高さの調節ができる枕であれば、少しずつプラス、マイナスしながら楽で心地よいと感じる高さを探ってみてください。調節ができないものであれば、折りたたんだタオルケットや座布団などをベースに、その上に何枚かのタオルを重ねた簡易枕を作ってみましょう。重ねたタオルを足したり引いたりしながら、最適な高さになるまで試してみましょう。

 

4−1首のくぼみの深さを目安に仰角5度になる高さ

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リラックスして立った状態で、第七頸椎(頭を下げた時に首の付け根部分にポコッと出る骨)に定規をあて、側面から見て背中のラインの延長までのくぼみの深さを計測します。このくぼみの深さが枕の高さになります。定規を指にはさんで第七頸椎にあて、手を軽く背中に添えるようにして計測できます。計測したら、実際にその高さを側面からチェックしてみましょう。

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自然な首の傾斜は、仰向けに横たわったときの顔面の仰角(額と鼻の先端を結んだ線がつくる角度)が5度になります。その時、頭は心臓より少し高い位置にあります。側面からみて仰角が5度になり、体がリラックスした状態を感じていれば、それが仰向けでの理想的な高さになります。自分にぴったりの高さに出会うと、寝た瞬間に全身の力が抜けて心地よさを感じます。

 

4−2横向きで頭から胸のラインがまっすぐになる高さ

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仰向けでちょうどよい高さを、今度は横向きでチェックします。横向きになると、肩幅分だけ高くなるのでは・・・と考える人もいるかもしれません。しかし、人間の体は、横になると、肩は柔軟に前に出て、肩幅を小さくするようにできています。ですから、必ず、どちらの姿勢をとってもしっくりくる高さが見つかります。

横向きに寝た時に、頭、顎、胸のラインをみます。両手は、胸のあたりでクロスしておきます。体の中央を通るこのラインが、まっすぐであれば、横向きでもちょうどよい高さです。首が上がっていれば、枕が高いということになりますし、下がっていれば低いということになります。

4−3寝返りが打ちやすい高さ

横向きでまっすぐなラインがチェックできたら、今度はその高さでスムーズに寝返りが打てるかをチェックします。左右に転がり、体をひねらずにスムーズに転がれるか確認します。

スムーズな寝返りを打つために、頭が沈み込まない硬さも枕には必要です。中央がくぼんでいない、シンプルでフラットな枕をお薦めします。

 

首を理想の角度に安定させたまま、左右に寝返りが打てるかどうかはわずか5ミリ単位でも違ってきます。調節を繰り返しながら、最適な高さを探しましょう。

 

5.最適な枕の高さを見つける重要ポイントまとめ

これまでの説明をまとめると、枕は、眠りの質を左右する睡眠姿勢において、神経が集中している首をサポートするという大切な役割を担う重要なアイテムです。そのキーポイントは高さにありました。

人は何もない場所でも、体を横たえると、つい腕を頭の下に入れたくなります。これは、無意識の行動ですが、そうすると、体が楽だと感じるからです。こうした体の感覚は、これまでに説明してきた人体のメカニズムと深く結びついています。

習慣や環境などの影響も含めて形成される人間の体格や骨格は千差万別ですから、ちょうどよい高さというのは一概には決められず、人によって違っています。

理想的な睡眠姿勢である仰角5度の傾斜を目安に、5ミリ単位での高さの調節をおこない、自分の感覚を頼りに違いを感じてください。また、使っていくうちに、へたってきますので、時々高さを見直してみて下さい。

必ず、深い眠りにたどり着ける、あなたにピッタリの枕の高さに出会えるはずです。

 
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