羽毛布団に寿命はあるの?正しく知っておきたい劣化のサイン

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毎日使う寝具は、長く使っていても、電化製品のように壊れたり、消耗品のようになくなったりしません。いつの間にか年数が経ち、購入時に比べて使い心地が悪くなったと感じていても、何となくそのまま使っている方が多いのではないでしょうか。衛生面や快適さの観点から、不安や疑問を感じながらも「替え時が分からない」という声も、よく耳にします。とても身近なものであるにも関わらず、寝具の寿命は意外と知られていないのです。

その中でも、羽毛布団は耐用年数が長いといわれているため、購入したはいいけれど、気付けばいつ頃買ったものかさえ思い出せない人も少なくないと思います。

かつて羽毛布団が登場したばかりの時代には「高級品は一生モノ」とうたわれたこともありますが、残念ながら羽毛布団にも寿命があります。実際どのくらいの期間使用でき、何によって決まってくるものなのでしょう?また、どうなったら、寿命と考えればいいのでしょうか。

実は詳しく知られていない羽毛布団の寿命と、替え時の目安となるサインについて解説します。

1.羽毛布団の寿命について

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軽さと温かさにおいて、圧倒的な支持を集める羽毛布団は、吸湿性と放湿性の両方に優れているため、正しい使い方のポイントさえ押さえていれば、意外と手入れの手間がかからず、羊毛や綿布団などに比べて快適さが長持ちするお布団です。一般的に言われているその寿命は、10年〜15年ですが、中には20年以上使っている人もいます。

それだけ長い間使っていると、形こそなくなりませんが、様々な要因によって中身の羽毛は消耗しています。ふっくらとしたかさ高が徐々に減り、本来備えている保温性が失われていきます。ふくらみが減り、布団をかけていても寒いと感じたら、それが寿命のサインです。

取扱説明書に、寿命の目安が記載されているものもありますが、本来、製品の寿命は何よって決まるのでしょう?天然素材である中身の羽毛自体に関しては、きちんと洗浄、加工された品質の確かな物であれば、耐用年数は10年以上にも及ぶとも言われています。しかし、羽毛の寿命=羽毛布団の寿命ではありません。羽毛を包んでいる側生地も劣化します。羽毛布団の寿命は、その両方を合わせて判断します。

1−1値段で決まる?高級布団は寿命が長いか、短いか?

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単純に、高品質で高級な羽毛布団であれば長持ちするのでしょうか?残念ながら、そうとも言い切れません。高級なものには確かに、耐久性に優れた上質なダウンがしっかりと充填されています。ですから、羽毛に関していえば、寿命が長いと言えます。しかし、側生地をみると、高級布団に使用されているものは、丈夫さよりも寝心地を優先しています。最高級側生地素材であるシルクは、柔らかで心地よく、吸湿発散性に優れていますが、耐久性の観点からすると、他の素材に比べて劣ります。縫い目や縁が擦れにより破れたり、直射日光に当てると変色して劣化が進みます。同様に、綿の中でも高級とされる超長綿は、ソフトでしなやかな感触と高いドレープ性が魅力ですが、細い糸で織られたその風合いゆえに、丈夫さでは太い糸に劣ります。ピーチスキンも生地の表面を削っているので、やわらかさは出ますが生地は弱くなります。側生地に関して言えば、高級布団の方が寿命が短い傾向にあります。

1−2羽毛の種類による寿命の違い

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中身の羽毛の種類が違うと、耐久性にも違いがでます。ダックダウン(あひるの羽毛)、グースダウン(ダチョウの羽毛)、マザーグースダウン(ガチョウの親鳥の羽毛)、アイダーダックダウン(ダウンの宝石と呼ばれる希少性の高い最高級羽毛)の順で、順を追うごとに耐久性が高く、寿命が長くなります。これらの違いは、羽毛の大きさや成熟度によるものです。ダウンボールが大きく、コシ(弾力性)があるほど長持ちします。

※羽毛の種類ごとの特性については、売り文句で決めてない?羽毛布団を選ぶ前に押さえておきい3つのポイントでも触れていますので、詳しく知りたい方は、ぜひご覧になってみて下さい。

このように製品が本来もっている要素に加えて、日常の使い方でも寿命に個人差が生じてきます。続いて、羽毛の経年変化と日頃のケアで変わってくる違いについて順に説明します。

 

2.長く使った羽毛布団はどうなっているの?

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先ほど、長い間使っていると羽毛は消耗するといいましたが、新品の状態から使用年数を経るごとに、どのように変化していくのでしょうか。

もちろん、製品の品質や、使用状況の個人差によって違いはありますので、ここでは、あくまでも平均的な目安として述べたいと思います。

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購入時の羽毛は、ダウンボールがタンポポの綿毛のように球状に広がり、空気をしっかりと包み込んで空気層を作っています。空気層が人間の体温によって温められ、温かい空気が布団の中にとどまることによって高い保温性を保ちます。全体にかさ高があって、ふんわりとし、吸湿性と放湿性に富んだ爽やかな温もりを感じる快適な状態です。側生地にも汚れはありません。

これが5年経つと、徐々に浸透した汗や皮脂、垢、ホコリなどによって、中身の羽毛がうっすらとコーティングされた状態になります。汚れによって羽毛同士がくっつくため、かさ高はやや減少しますが、極端な保温性の低下までは感じられません。側生地も、購入時に比べるとくすみはありますが、まだ気になるほどではないでしょう。

では、10年後、15年後はどうでしょう。ここからは個人差が出てくるところですが、かさ高についていえば、多くの場合、買った時に比べて、はっきりと実感できるへたりが出てきます。中のダウンボールは、汚れによりふくらみを失い、小さくなったり、枝羽ができて壊れたりしています。ダウンのダメージは、保温性に直結するため、寒い日には温かさが感じられないようになってきます。また、側生地にも全体的な色褪せや、襟元などに目立つ汚れが出てきます。クリーニングしても回復しない状態であれば寿命と捉え、替え時を検討する目安になる時期です。

 

3.日常のお手入れで変わってくる寿命

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蓄積した汚れは、保温性の低下や側生地の劣化を招きます。この部分に関しては、日頃の使い方、使う人の体質によって、長くなったり、短くなったりと違いがでてくるところです。それぞれの観点から、羽毛布団の寿命を左右する日常のチェックポイントについて説明します。

3−1あなたの使い方は?寿命に関わる日頃のケア

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毎日使うお布団の寿命は、日頃の使い方に大きく左右されます。人は、眠っている間、一晩でコップ1杯の汗をかくと言われています。汗には、水分の他に、塩分、わずかな脂質も含まれています。これが側生地を通して、ゆっくりと羽毛にも浸透していきます。このうち水分については、放湿性にも優れているうえ、時々干すことで解消できますが、塩分や脂質は、少しずつ浸透、蓄積しながら羽毛を劣化させていきます。カバーをこまめに洗濯しているか、月に1回程度干して乾燥させているか、汗を多くかく季節は使用を控えているか、汚れが集中しないよう上下左右裏表を入れ替えながら使っているか、などが寿命に影響してきます。

また、保温性の要となるダウンボールにダメージを与えないよう、直射日光下での過度な日干しをしていないか、布団を干した時にパンパンとたたいていないか、圧縮パックなどを使って布団を押しつぶす収納をしていないか、通気性の良い状態で保管しているか、などもダウンの寿命に関わってくるポイントです。

※正しいお手入れ方法については、ずっと快適に使いたい!羽毛布団の正しいお手入れ方法とは?で詳しく解説していますので、興味のある方はチェックしてみて下さい。

3−2適切なクリーニング

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さらに5年程度を目安に、専門業者で丸洗い(水洗い)クリーニングしている場合は、たまった汚れがリセットされている分、快適な使用期間が保たれます。汚れやへたりが気になり、寿命かなと感じている場合でも、使用期間が10年より短ければ、丸洗いでふんわりと温かい使用感を回復する場合もあります。

ただし、頻繁なクリーニングは、かえって羽毛を傷めてしまいます。特に、ドライクリーニングはダウンを保護しているわずかな脂質を落とし、ダメージを受けやすい状態にします。洗いすぎで油分を失い乾燥した髪が枝毛になるように、ダウンボールも枝羽になり、壊れてしまうのです。過度なクリーニングをしないことも羽毛の機能を保つポイントです。

3−3使っている方の体質によって生じる個人差

同じようにケアしていても、汗っかきの方とそうでない方の汚れの蓄積度合いには違いがあります。手足が汗ばみやすい、寝汗をかく、皮脂の分泌が多いなど、個人個人の体質も、長期間の使用においては影響を与えます。当てはまるなと感じる方は、標準的な寿命よりも少し短めに考えてみて下さい。

 

4.お布団が教えてくれる替え時のサイン

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買ったばかりの羽毛布団は、とても快適な状態です。それが失われてきた時には、使っていて実感できる様々な症状となって現れてきます。ここでは、羽毛布団が発信する劣化のサインについて説明します。

4−1ふくらみ、かさ高が減った

吸湿作用によって汗などの水分を含んでも、放湿性にも富んでいるため干すことで回復しますが、蓄積した汚れによって、ダウンボールがダメージを受けていると、干してもふくらみが戻りにくくなってきます。こうした状態で、へたりや、かさ高の減少が実感でき、購入時に比べて、3分の2前後になったと感じたら、それは寿命の目安として捉えましょう。

4−2なんだか重くなった気がする

軽さが特徴の羽毛布団ですが、長い間に蓄積された汗や皮脂によって放湿性を失うと、少し重く感じてくる場合があります。これも、ひとつの寿命のサインです。

4−3保温力が低下した

冬にお布団を使っていて、以前に比べて温かさがなくなったように感じてきたら、ダウンボールが消耗していることが考えられます。10年以上使っていて、クリーニングしてもふくらみ、保温性共に回復しないようであれば、替え時です。

4−4頻繁に羽毛が飛び出してくる

羽毛布団の側生地は、ダウンプルーフ加工(目詰め加工)を施し、羽毛が飛び出さないようにしてあります。しかし、わずかな通気性はありますので、急な圧がかかったりすれば、中の空気と一緒に小さなダウンファイバーが飛び出したり、スモールフェザーの羽軸が生地に突き刺さって出てくることがあります。また、縫い目などからはさまっていたダウンが出ることもあります。こういった稀な場合ではなく、カバーの中に羽毛がたまったり、上げ下ろしのたびに羽毛が舞うといった、断続的に羽毛が出てくる現象が起きているのであれば、生地に穴や裂け目、キルティングのほつれがないかチェックしてみて下さい。穴が大きかったり、生地が傷んで裂けてきているようであれば、側生地の寿命と考えてよいでしょう。

4−3羽毛の偏りが気になる

日頃の使い方の癖などにより、足下方向など一定方向に羽毛が集まりやすくなります。この癖に加えて、蓄積された汚れがダウン同士を結びつけていくと、戻りにくい状態になってきます。干して乾燥した後、反対方向に軽く振っても戻らないようであれば、ひとつの劣化のサインとみなします。

 

5.もう寿命かな、と思ったら

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使用年数が10年以上経過していて、クリーニングしても回復せず、替え時のサインに当てはまるようであれば、ひとつの寿命と考え、羽毛布団の買い替えやリフォームを検討するタイミングです。

しかし、高額で購入したものなどは、なかなかその見極めを難しく感じる場合があります。心斎橋西川では、羽毛選別機ダウンサットを使って、羽毛布団の状態を無料で調べてくれるサービスがあります。状態をチェックした上で、買い替えや仕立て直し、丸洗いの相談ができるので、こうした専門家の判断にゆだねるのも1つの方法です。

また、品質の良い羽毛の価格が上昇している昨今では、羽毛をひとつの財産と考え、思い切って買い替える以外に、リフォームするというエコロジーな手段もあります。

リフォームは内容によって高額になる場合があります。また、羽毛の状態によっては、難しいこともありますので、状況や予算に応じて検討してみて下さい。

※詳しくは、羽毛布団の打ち直しは買い替えるよりお得? 布団のリフォーム「打ち直し」について解説しますで解説していますので、ご覧になってみて下さい。

5−1思い切って買い替えるときは

高品質のダウンであれば、リフォームや打ち直しで長く使い続けるのも1つの方法ですが、手頃な価格で購入した羽毛布団であれば、思い切って買い替えるのが1番良い方法です。買い替えにあたって、今後の使用年数を考え、そこに見合った耐久性のある羽毛布団の購入をお薦めします。20年以上使いたいと考えるのであれば、やはり高品質で製品の保証がしっかりしている物が、長い目で見るとお買い得なのかもしれません。心地よい眠りを得る価値と、耐久性をふまえて、じっくり検討してみてください。

 

6.羽毛布団の寿命についてのまとめ

いかがでしたか?羽毛布団の寿命や劣化のサインについて、詳しくご理解頂けたでしょうか。

これまでの内容をまとめると、

・羽毛布団にも寿命はあり、10〜15年が平均的な目安となる。

・羽毛は、汗や皮脂などの汚れによって少しずつ劣化し、保温性やかさ高が失われる。

・10年以上使っていて、へたり、側生地の傷み、羽毛が頻繁に飛び出す、温かさが足りないように感じる、布団が重くなった、羽毛が偏るといった症状があり、天日干しやクリーニングをおこなっても回復しないようであれば、その羽毛布団は寿命を迎えている。

・羽毛布団に寿命がきたら、買い替え、またはリフォームを考える。いずれもかかる費用に違いがあるため、予算と今後の使用年数をふまえて検討する。

となります。

お手持ちの羽毛布団に思い当たるようなことがあれば、ぜひ、参考にしてみて下さい。

 

 

 

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